法令?告示?通達
自然公園法の一部を改正する法律の施行について
厚生省発國70號
厚生事務次官から各都道府県知事あて
自然公園法の一部を改正する法律は、昭和45年5月16日法律第61號をもつて公布され、即日施行されたが、次の事項に留意のうえ、この施行に遺憾のないようにされたく、命により通達する。
第1 改正の趣旨について
今回の改正の趣旨は、わが國の周辺の海域の熱帯魚、さんご、海そう等から構成されるすぐれた海中景観をいわゆる海中公園として保護し、利用するため、自然公園法の體系を拡大し、海中公園地區に関する規定を整備したものであること。
また、今回の改正において、土地調整委員會の所掌事務の範囲を拡大したものであること。
第2 海中公園地區等について
1 海中公園地區は、國立公園又は國定公園の海水の清澄な海域における熱帯魚、さんご、海そう等を中心とする海中景観のすぐれている區域を指定するものであること。
2 海中公園地區內における改正後の自然公園法(以下「法」という。)第18條の2第3項各號に掲げる行為は、いずれも海中公園地區の景観を著しくそこなうおそれが強いものであるから、その許否の判斷に當たつては特に慎重を期するものとすること。なお、海中公園地區の周辺の陸上の公園區域における許認可等の処理に當たつても海中公園地區の景観に與える影響を考慮し、慎重に判斷されたいこと。
3 海中公園地區の周辺1キロメートルの當該海中公園地區に接続する海面內の普通地域における鉱物の掘採、土石の採取及び海底の形狀変更が新たに法第20條第1項の屆出行為として追加されたが、海中公園地區の周辺における各種行為が海中公園地區の景観に及ぼす影響は著しく大きいと考えられるので、屆出を受けた場合は、すみやかに當該行為の海中公園地區の景観に及ぼす影響について検討し、適切な措置を講ずること。
4 海中公園地區及び公園利用上これと一體性を有する周辺の區域における公園計畫の策定又は変更及び公園事業の推進に當たつては、國民が海の自然と接することにより海に関する知識を深め感銘を受けることを基本理念として海のレクリエーシヨンが総合的に行なわれるよう配慮すること。
5 海中公園地區においては、陸上の特別保護地區に準ずる景観の規制を行なうものであるが、海面における漁業、運輸、通信、鉱業、文化財保護等の公益との調整に十分留意すること。
6 都道府県立自然公園においては、海中公園地區を指定することはできないので留意すること。
第3 土地調整委員會の裁定事項の拡大について
法第34條第1項の規定により土地調整委員會へ裁定の申請ができる者及び不服の理由の範囲を拡大し、新たに処分を受けた者以外の第三者からも裁定の申請ができることとし、また、不服が砂利採取業に係るものについても裁定の申請ができることとしたこと。