「おじいちゃんから受け継いだ腕時計や、ドイツの刃物の街?ゾーリンゲンで作られたカミソリ、オイルライター……、職人さんが作ったような長く使える物が好きですね。べつに高価な物じゃなくていいんです。この前実家に行った時には、ゴムでできた昔ながらの水枕があるのを見つけて、もらって帰ってきました。たとえ大量生産品だとしても使い捨てにせず、大切に使われることで人のぬくもりが伝わってくる、そんなプロダクトに觸れていたい。そうすると自分の時間が豊かになるように感じます」

 最近のお気に入りは、水筒。そのきっかけをつくったのも、古民家のカフェだったのだそう?!竷Wは水を飲むのが好きで、それまで舞臺の稽古ともなるとペットボトルを1日に何本も飲んでいました。ある日、撮影で行った古民家のカフェに、ペットボトルをはじめとするプラスチックがどれほど地球や生き物を脅かしているのか、という內容の本が置いてあって、それを読んで大ショックを受けました。マイクロプラスチックの問題はよく知られているところだと思いますが、その汚染は海だけでなく土壌にも及んでいる。その衝撃的な內容に一瞬『読まなければ良かった』と思ったくらいです。書かれていたことを知らなかった自分に対してもショックでした。水筒を持ち歩くようになったこの1?2年、ペットボトルの飲料水を買うことはまったくなくなりました」

 地方に出かければ、自分の水筒に水をくむ。その土地ならではの料理を食べるように、その土地の水を飲む。自然に流れている川や湧き水でなくてもよし。水道水でもおいしい。その姿勢は、東京でも変わらない。時にカフェなどで店員さんに「水道水を、水筒にいれてもらえますか?」とお願いすることもあるそうです。
「18、19歳の頃にカナダで暮らしたことがあります。僕の知る限りですが、カナダの人たちはペットボトルではなく水筒を使っていました。なぜそれが日本でなかなか浸透しないのかと思いますが、やっぱり日本ではペットボトルがすぐ買えてしまうからなんでしょうね。安くて便利なものがあるのに、それを『地球環境が脅かされているから、もう使うな』と言われたって、そうそうすぐにできることじゃないと思います。でもペットボトルやプラスチックのごみが大量に浮いた海を100人が見たとして、そのうち1人でもそれを美しいと思う人はいるんだろうか。美しいと思えないのなら、じゃあどうしようかっていうことなんですよね」

 「こうしろ」と言われたからって、人はなかなか動かない。だって自分もそうだから。人が動くための原動力は、心が動かされる何かがそこにあるかどうか、そんなふうに渡部さんは感じているようです。
「舞臺のお芝居にしてもそうですが、僕たちは『これを屆けたい』という思いで演じ、お客さまは『観たい』と思って來てくださる。その中のどれだけの人に突き刺さるものがあるかはわかりません。でも漠然とでも何かを感じた人がいたらそれでいいですし、5年後、10年後に思い出して何かのきっかけになることもあるんじゃないかな」

 何かをやってみたい、そう思ったらアクションをする、その積み重ねがいつしか大きなうねりのようなものにつながっていくこともあります。環境問題への取り組みにしても同じ。難しく考えず、自分の「やりたい」をベースに活動をしていくうちに一歩前進しているのかもしれません。大事なのは、感じたことをスルーせずアクションすること、そう渡部さんは教えてくれたようです。

渡部豪太氏畫像2
寫真/千倉志野

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